令和6年3月28日
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

HTTR(高温工学試験研究炉)における安全性実証試験に成功
―高温ガス炉固有の安全性を確認―

国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(理事長 小口正範)は、大洗研究所に設置されているHTTR(高温工学試験研究炉)を用いて、高温ガス炉(ブロック型※1)として世界で初めて、事故時においても炉心溶融がおきないことを実証する安全性実証試験「炉心流量喪失試験※2」に成功しました。試験は令和6年3月27日(水)から28日(木)10時にかけて実施し、原子炉出力100%の運転中に原子炉を冷却できない状況を引き起こしても、自然に原子炉出力が低下し、安定な状態を維持することを確認しました。

この試験により原理的に炉心溶融が起きない高温ガス炉固有の安全性※3を証明し、高温ガス炉の社会実装に向けた大きな一歩を踏み出しました。

原子力機構では、本プロジェクトを通じて高温ガス炉の固有の安全性を示し、安全上の特徴を反映した安全基準の国際標準化を進めるとともに、我が国の高温ガス炉技術の国際競争力強化に貢献していきます。

引き続き、安全確保を最優先に、HTTRの運転を慎重に進めてまいる所存です。

※1 高温ガス炉にはブロック型とペブルベッド型があり、HTTRはブロック型である。

※2 定格出力100%(30MW)において、ヘリウム循環機を停止して強制冷却機能を喪失させ、かつ、制御棒による原子炉の停止ができない状態においても、物理現象のみで原子炉の出力が低下し、安定な状態を維持することを確証するための試験。OECD/NEA(経済協力開発機構/原子力機関)の国際共同研究プロジェクトとして実施。(別紙1、別紙2参照)

※3 高温ガス炉は、炉心には高温に耐える黒鉛を使用。炉心の熱容量(熱を貯めこむ能力)が大きく、万一の事故に際しても炉心温度の変化が緩やかで、燃料破損(炉心溶融)に至らないという高い固有の安全性を有している。

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